建設業界の発展に貢献したいという思いから認定を決意
株式会社ワット・コンサルティングは建設業界に特化した派遣会社です。建設系の派遣会社は多数ありますが、優良派遣事業者認定を取得している企業は多くありません。
そんな中、当社が認定取得を目指したのは、建設業界全体の発展に貢献したいという思いからでした。当社代表の意思でもありますが、建設業界に特化した派遣会社として“建設業界の教育機関を担う”つもりで事業運営を行っており、昔から社員教育やキャリアアップにも注力してきました。その思いや目指すところは、優良派遣事業者認定で定められている基準とも合致していたので、せっかく取り組むのであれば優良派遣事業者認定を受けようと考えました。
認定を受けてからは、取引先や求職者から安心・信頼に繋がっているのを実感しています。初めてお取引させていただく新規企業の場合は、信頼感が重要なので、当認定を受けていることを評価いただいています。実際に「優良派遣事業者認定を取っているなら、社内で企業審査が通りやすいです」と言っていただけたこともありますし、求職者の方も、優良派遣事業者認定を受けていることを説明すると安心された表情をされていることもあります。認定を受けていてよかったなと感じることは少なくありません。
日頃から認定基準に沿って運営しているため、更新作業はエビデンス収集が中心に
今回は2回目の更新。初回認定時から参加している社員と、キャリアアドバイザーや営業、業務推進など関連セクションから全9名によるチームを立ち上げ準備を進めていきました。更新2回目となるので、ルールや仕組みについてはおおよそ確立できているため、準備のほとんどはエビデンスを確保することでした。
エビデンスを集めるうえで難しいのは、人によって項目基準の解釈が異なることです。エビデンスについては、前回認定を受けてから営業支援システムである「Salesforce」を導入しており、システム内に蓄積されるようになっていますので、書類を提出してもらうこと自体は難しくありませんが、提出してもらった資料がエビデンスとして適切でないケースもあります。そのため、関係部門には予めエビデンスを提出してもらう前に、一つ一つ項目を説明してエビデンスとして適切な資料のイメージを理解してもらってから収集に取り掛かったことで、非常にスムーズに集められたと思います。
当社では日頃から、優良派遣事業者認定をベースとして社内の取り組みを行っており、エビデンスをしっかり残すということも周知しています。そのため、新たな対応が必要な項目についても、エビデンスがすでにあるという状態にできています。
今回の更新では、改正になった育児介護休業法に合わせて審査項目に変更がありました。ご本人が妊娠した時以外にも、男性の方も配偶者が妊娠された時に育休や産後パパ育休の取得意向を確認しなくてはなりません。当社でも事前に社員全員に研修を行い、必要な対応の周知は行っていたため、実際にエビデンスとなるドキュメントが用意されていたことは非常にスムーズに準備できたと思います。 エビデンスとして日々の活動記録を提出したため、審査時には「他にもありますか?」と質問され、異なるエビデンスを提示しなければなりませんでしたが、審査に向けた書類を2つずつ用意していたので、その点も良かったと感じています。
審査が近づくと、抜け・漏れがないようにチェックをしていきました。個人情報を開示しないよう、すべての書類の個人名等はマスキングをするというルールがありますが、思わぬところに氏名が載っていることもあり、そういった点の確認には苦戦しながら、最後の最後までチェックをしていきました。
人材育成企業としての自社の強みを再認識し更なる機会提供の創出へ
優良派遣事業者認定は、クライアントや求職者の方にも安心していただくことができますし、会社としてしっかりとした事業運営を行う上での基盤や仕組み作りにもつながります。派遣企業にとっても、認定は決して単なるステータスではありません。認定取得を通じて、自社の課題や強みを見つめなおすチャンスです。
当社では以前より派遣社員のキャリア形成支援に注力しています。未経験者の方や、文系卒の方にも建設業界で活躍していただけるよう、入社後~就業前に2カ月間の研修期間を設けて、専門スキルや基礎知識を身につけることができるOFF-JTを行ってきました。優良派遣事業者認定を受けてからは、そのトレーニング内容を見直し、さらに質の高い教育を受けていただけるように常に進化させています。
建設業界は2024年まで残業時間について特例的に除外されていたこともあり、「建設業界=残業が多い、休みが少ない」といったイメージは強いと思います。しかし、若い人材が建設業界に不足しているという課題を解消するためには、労働環境の改善は必要不可欠です。当社では派遣先企業にも「特例の範囲ではないラインで守っていきたい」ということを訴求し、時間外労働の削減や、週休2日はもちろん祝祭日もお休みできるような労働環境の改善にも努めています。
独自に注力してきた取り組みが、確実に他社との差別化になるということを、認定取得を通じて認識することができましたし、現在もブラッシュアップを続けている途中です。当社は20周年を迎えたのを機に“人材育成企業”のビジョンを掲げました。これまでには、建設業界へ専門スキル(CADソフト)の教育ツールを自社開発し提供しています。当社が保有している教育プログラムやノウハウを建設企業に提供する試みも始めています。外国籍の方にも日本国内で活躍していただけるようなコンテンツも用意していきたいと考えています。
認定企業が増えることで、働きやすい環境実現につながる
認定取得する企業が増えることで、優良な派遣会社が増え、業界全体の改善につながっていくはずです。今、認定企業は150社ほどしかありませんが、これが200社、300社……と増えることで、労働基準法以上に恵まれた働きやすい環境を実現できたら素晴らしいなと思います。