派遣会社に必要な知識の底上げとして
株式会社ワイズは、石川県金沢市に本社を置き、北陸地方を中心に地元密着型の人材総合サービスを展開しています。当社が優良派遣事業者認定を受けるきっかけになったのは、改正派遣法への対応です。企業理念に「法令と道徳を重んじる企業」を掲げていますので、当社なりの対応は行っていましたが、客観的に見て十分な対応ができているか自信がなかったため、当認定を受けることで確実にクリアできるのではないかと考え、認定を受けることにしました。
審査準備には、総務部門と営業部門から社員が参加しましたが、みんなで審査基準に沿って学んでいくことで、派遣法はもちろん、派遣会社に求められる要件の全体像をしっかりと理解し、社内で運用していた体制や制度を一つ一つ見直すことができました。
初回の認定を受けた際は、仕組み自体をゼロから作らなければならなかったり、揃えなければならないデータが膨大にあったりと本当に大変でしたが、それらの取り組みが社員全体の必要な知識の底上げにつながりました。
社員教育の一環になるというメリットも大きいため、営業部門と総務部門からなるべく多くの社員を巻き込みながら認定を受けています。
審査時に指摘を受けた「安否確認」毎年、災害を想定した訓練を実施
実は、審査項目の中にある「安否確認」について、体制や訓練実施内容の不足をご指摘いただき、審査に一度落ちたことがあります。
当社は7拠点に事業所がありますが、訓練を行ったのは一部の事業所だけでした。すべての事業所での訓練が必要だとご指摘をいただき、
再審査を受けることになりました。
その後は、時間をかけてでも毎年訓練を実施し、安否確認メールの回答率もしっかり達成させ、適切な準備を行えるようになっていました。そして、2024年1月に能登半島地震が発生した際、その経験は非常に役立ちました。
準備ができていたからこそ地震発生時に混乱なく対応できた
当社は能登にも営業所があり、当社のスタッフやご家族、多くの取引先企業が被災しました。出勤が困難であったり、派遣先企業様も通常通り稼働できなかったりと大きな被害がありました。
震災時は「安否確認」の訓練や準備ができていたことが大変役立ちました。普段であれば当たり前にできることも、想像を絶するような自然災害の中では非常に時間を要します。訓練時は「このように連絡すれば良い」と考えていたことも、実際の被災現場においては、発信側も被災していたり、連絡を取ることさえ困難であったりと、想定外のことがいくつもありました。
そのため、実際の対応は決して100点満点ではありませんでしたが、それでも優良派遣事業者認定の基準に沿って訓練できていたからこそ、当日中に安否確認の発信を行い、早々に全員の安否確認を行うことができました。
また、万が一、今後同じような災害が発生した際に備えて、少しでも早く確認が取れるよう、体制やツールを見直しました。
震災を通じて感じた人をサポートできることのやりがい
私たちも、派遣先企業やスタッフさんにできる限り寄り添って、お一人ずつの状況をお伺いし、復帰までのサポートをしていく中で、地元の人々とのつながりを持ち、いろんな方のサポートをすることができる、人材業界のやりがいを改めて感じました。また、しっかりと連携しながら立ち向かっていくことで、いろいろな課題が解決できる可能性も再認識しました。
地元密着型の優良派遣事業者として幅広いニーズに対応していく
認定を取得してからは、お客様から「派遣会社を選ぶ時に、安全で、安心で、信頼もできる」と仰っていただくことが少なくありません。派遣会社を選択する時の大きな基準になっているのを感じていますし、お客様からの高いご評価をいただけることで、社員のモチベーションや意識も、間違いなく変化しています。
地場の会社で、当認定を取得しているのは当社ともう1社だけですので、差別化になっているのは間違いありません。しかし、認定取得を受けることは決して目的ではありません。
優良派遣事業者として必要な勉強を行いながら、日々コンプライアンスや法令を遵守した高いレベルの事業運営を行った結果、認定をいただけるという形が理想だと考えています。
現在、“働き方”は多様化しています。外国籍の方の活用をされている企業も多く、求職者の方もいろんなお仕事を選択できるようになっています。私たち人材サービス企業は、コンプライアンスや法令遵守だけではなく、多様性にも対応できる力が求められます。そして、その礎となるのも、優良派遣事業者としての学びや取り組みだと考えています。
これからも、地元の企業様、そして地元のスタッフの皆様に少しでも貢献できるように、優良派遣事業者として取り組んでいきたいと思います。